一俳句会

月刊俳座 一 二千二十六年九月号 一人一句 島田牙城撰
花組
朱木ひさし
ろくがつのみなづきとなるとろみかな
大久保 樹
遠きもの探しつつ炊く鯖さうめん
小都妙子
回天基地跡に学校さくらの実
叶 裕
ひたひたと蚯蚓の夜がやつて来る
かりんとう
獄庭の木の実は誰の落し物
黄土眠兎
ゆきゆきて苔が光を吸ふ夕焼
木野清瀬
柘榴の花や地獄にも極楽にも
工藤泰子
孑孒の浮いて泡立つ貯水桶
島田牙城
柳絮吹き溜まりてやいのやいのかな
瀬戸正洋
曇天やゴリラの研究者とバナナ
谷口智行
睡醒のあはひに梅雨の怒濤音
茶屋七軒
花水木蛇の館の外で待つ
辻 一郎
メロン掬う父の祖母への敬語かな
長田圭子
ほうたるの恋愛脳を笑へるか
中山奈々
親指で拭ふ晩夏の靴の傷
長谷川 晃
風呂の黴半分落し小暑なり
濱田武寿
師も我もぞつこんの山桜かな
姫川成龍
方舟の骨格遺し夏北斗
藤井美琴
夏休み木切れ千本振り回す
柳堀悦子
玉蟲の翡翠色なる糞をせり
月組
歌代美遥
歪みつつ溜まる両手の岩清水
大石菜草
聴衆の漢無愛想油照り
児玉 皓
魂抜きの済みし山墓青葉木菟
清水科斗
どこまでも誰の空でもない夏の
大文字 良
カウンターに茄子の素揚や塩に食ぶ
詫間えりこ
蝶紋の単衣のかかる奥座敷
中常 森
骨細く脂肪の多き暑さかな
平城墨下
紫陽花が色変わりするほど待ちぼうけ
松本加代子
引率の教師の口や滝の前
水内和子
梅雨入のカップ麵おほよその三分
水口佳子
夏蝶二頭まぐはひの悦びに
遊鬼
噴水に外反母趾を向けて立つ
吉田君恵
しやうがないしやないとぞ土用干
狼耳
負け犬にひなたの匂ひ夜の秋