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一俳句会

句会を持ち歩く  黄土眠兎

 前回、清記用紙を隣へ回しながら句を読み、選句し、披講を聞く句会について書きました。紙が手から手へ渡り、同じ場所に集まった人たちが、同じ時間を過ごす。句会には、そうした「座」の実感があります。

 その一方で、いま私たちは、パソコンやスマートフォンを使って句会をすることもできます。

 一俳句会の「月いち句会」でも使っている夏雲システムは、投句から選句までをインターネット上で行う句会システムです。

 清記用紙を回す句会とは、ずいぶん違って見えます。

 けれども、使ってみると、この気軽さには独特のよさがあります。

 自宅にいても、旅先にいても、時間を見つけて投句ができる。選句も、決められた期間のなかで自分の都合のよい時間にできます。遠く離れて暮らす人とも、同じ句会に参加することができます。

 旅先で紙で読みたくなれば、コンビニで印刷することもできます。吟行先で清記用紙を回す時間が取れないときには、集まった句を印刷して皆に配れば、そのまま選句に入ることもできます。

 人数が多い吟行では、清記して、回して、全員に行き渡るのを待つだけでも、かなり時間がかかります。帰りの電車やバスの時間が決まっているとなおさらです。そんなとき、投句を先にまとめておける夏雲は心強い。句会の時間そのものを、しっかり残すことができます。

 仕事がある人、家を空けにくい人、遠方に住む人にとっても、「その日の、その時間、その場所へ行かなければ参加できない」という壁がなくなることは、思っている以上に大きなことです。

 清記する人も、集計する人もいない。そこはシステムが、淡々と引き受けてくれます。

 手軽です。

 けれど、その手軽さは、句会を軽くするということではありません。

 清記用紙を囲む句会には、その場に集まる楽しさがあります。人の声を聞き、表情を見て、句会の空気をともにすることができます。

 一方、ネット句会には、場所と時間を越えて人をつなぐ力があります。

 どちらが本来の句会で、どちらが簡略な句会、ということではないのでしょう。

 紙を回すことも、画面を開くことも、句会へ入っていくための入口です。

 いつでも、どこからでも句会に参加できるようになったことで、「座」は一つの部屋から、少し遠くまで広がったのかもしれません。

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